4.プロトコール
iDeal ChIP-seq Kit for Histonesは、細胞や組織からのクロマチン調製と免疫沈降に適しています。ステップ1のプロトコルは、細胞と組織で異なります。
以下のプロトコルは、約7×106個の細胞のバッチからのクロマチン調製(ホルムアルデヒド架橋、細胞回収、溶解およびクロマチン断片化)について記載しています。これは、6つのChIP反応(1免疫沈降反応当たり約1×106個の細胞を用いる)、1つのインプットおよび1つのサンプルのクロマチン断片化の評価に十分な量です。
1)ステップ1
細胞回収とDNA-タンパク質クロスリンク
接着細胞の場合:
PBS、培養培地およびトリプシン-EDTAをあらかじめ37℃に温めておいてください。
培地を除去し、予め温めたPBS(75cm2培養フラスコの場合は10 ml)で細胞をすすぎます。静かに2分間フラスコを振とうします。
PBSを除去し、無菌のトリプシン-EDTAを培養フラスコに加えて接着細胞を底から分離します。細胞を完全に覆うのに十分なトリプシン-EDTAを加えてください(例えば、75 cm2培養フラスコについては1 ml)。1〜2分間、または細胞が剥がれ始めるまで培養フラスコを静かに振ってください。
細胞が剥がれたら直ちに新鮮な培地を細胞に加えます。正確な不活性化のためには、培地の体積はトリプシン-EDTAの体積の2倍必要となります(例えば、75 cm2培養フラスコについて2 ml)。得られた細胞懸濁液を15 mlチューブに移してください。
10 mlの温PBSを加えてフラスコをすすぎます。すすいだバッファーを先ほど細胞を移した15 mlチューブに加えてください。
500×g、4℃で5分間遠心分離し、上清を除去します。
20mlの温PBSに細胞を再懸濁し、細胞数を数えます。500×g、4℃で5分間遠心分離して細胞(約7×106個)を集めます。
500μlのPBS(室温)に細胞(約7×106個)を再懸濁し、各チューブに37.5%ホルムアルデヒド(ヒュームフード下)を13.5μl加えます。穏やかにボルテックスして混合し、室温で8分間インキュベートしてクロスリンクを行います。
注:クロスリンク時間は、追加の最適化が必要な場合があります。「実験開始前の注意点」を参照してください。
57μlのグリシン溶液を細胞に添加してクロスリンクを停止します。穏やかに振とうしながら室温で5分間インキュベートします。これ以降は全てのサンプルを4℃または氷上で扱ってください。
500×g、4℃で5分間遠心分離して細胞を回収します。細胞ペレットを乱すことなく上清を捨てます。
1 mlの冷PBSで細胞を2回洗浄してください:(1 mlの冷PBSに細胞ペレットを再懸濁する。500×g、4℃で5分間遠心分離して細胞を回収する。細胞ペレットを乱すことなく上清を捨てる。)以上をもう一度繰り返してください。
注:断片化クロマチンの調製には、ChIPの直前に新しくクロスリンクした細胞を使用することを強くお勧めします。もしすぐに使用することが不可能な場合、クロスリンクされた細胞のペレットは、-80℃で最大4ヶ月間保存することができます。
目次
- キットを用いたクロマチン免疫沈降法プロトコル
- (1)はじめに-試薬・機器
- (2)ステップ1-細胞回収とクロスリンク
- (3)ステップ2-細胞溶解とクロマチン断片化
- (4)ステップ3-磁気免疫沈降
- (5)ステップ4-溶出、脱クロスリンクおよびDNA精製
- (6)ステップ5-定量PCR分析
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iDeal ChIP-seq histones kit x24 x100マニュアル