MeDIP法(メチル化DNA免疫沈降)|エピジェネティクス研究で使用される実験手法


メチル化DNA免疫沈降(MeDIP, Methylated DNA ImmunoPrecipitation)は5-メチル化シトシン(5-mC)または5-ヒドロキシメチル化シトシン(5-hmC、hMeDIPの場合)に対する抗体を用いたメチル化DNAのアフィニティー精製です。

MeDIP法原理

メチルDNA免疫沈降は対象となるゲノムDNA上の5-mCに特異的な抗体を用い、配列中にメチル化されたCが存在するゲノム断片を同定することによって、どの部位がメチル化されているかを明らかにする手法です。

塩基変換が必要でないため不十分な変換、過変換による影響がなく、WGBSと比較してシーケンス範囲をかなり狭められることから安価に実施できるメリットがあります。

一方、メチル化されたDNA断片を検出する手法のため、解像度がDNA断片長(多くはソニケーターによる生成断片長、150~300 bp)に依存する点がWGBSと異なります。

5-mC化されたDNA断片を同定することにより、ゲノム上でのメチル化された領域を網羅的に明らかにしたり、高い精度でメチル化状態の差異を比較することが可能です。

実験手順

1培養細胞または組織から、ゲノムDNAを調製します。

2Picoruptorウルトラソニケータなどの超音波破砕装置によってゲノムDNAを断片化します。

3免疫沈降、洗浄を行い、特異的なDNAを精製します

a. 抗5-mC/ 5-hmC 抗体でコーティングされた磁性ビーズを加える
b. メチル化DNAと結合した磁性ビーズを磁石を用いて分離
c. 洗浄
d. DNAを溶出する

単離および精製が行われた後の免疫沈降されたメチル化DNAは、qPCR、増幅、マイクロアレイ上のハイブリダイゼーションまたは次世代シーケンシング(MeDIP-seq)など、下流における分析に対応し、直接それらの実験に用いていただくことが可能です。

MagMeDIP kit

DiagenodeのMagMeDIP kitは、少量のDNAサンプルより効率的にライブラリーを調製してMeDIPを実施するのに最適化されたMeDIP-qPCR専用パッケージで、DNAメチル化解析において高品質なデータを取得するために開発されたキットです。

キットには、MeDIP-qPCR実験に必要なすべてのものが含まれています。これには、特異性の高い抗5-mC抗体(クローン33D3)、免疫沈降に必要な試薬類、外部DNAスパイクインコントロールと確認用PCRプライマー、DNA精製キットが含まれます。

堅牢かつ簡便なプロトコルで、レプリケート間で再現性の高いMeDIP-qPCR実験を実施していただけます。

hMeDIP法

5-ヒドロキシメチル化シトシン(5-hmC)はシトシン脱メチル化の中間物質としてエピジェネティクス上で遺伝子発現調節を担っていることが分かっています。

しかしながら、5-hmCと5-mCを効果的に区別するためには従来5-hmCに修飾基を付加し、特異的に制限酵素を作用させるなど面倒な手順が必要でした。

hMeDIP kitは、Diagenodeが有する抗5-hmC抗体を用いた免疫沈降精製キットで、免疫沈降の原理を用いて効率よく簡単にヒドロキシメチル化DNAを濃縮・回収することが可能です。特異性の高い抗体により、高い回収率でヒドロキシメチル化DNAを得ることができ、定量やシーケンスに用いることができます。

製品案内

MagMeDIP qPCR kit

5-メチルシチジン抗体を用いた、メチル化DNA免疫沈降実験専用キットとDNA精製キットを含むオールインワンパッケージです。

hMeDIP kit x16 (monoclonal mouse antibody)

DiagenodeのhMeDIPキットは、5-ヒドロキシメチルシトシン(5-hmC)に対する最初で唯一のモノクローナル抗体を用いた、DNA免疫沈降実験専用キットです。実験に必要なコントロール配列を含んでいますので確実な実験を行っていただけます。

DiaMag 0.2ml - マグネットラック

磁気ビーズによるDNA精製を行っていただく際に大活躍する16本の0.2mLチューブの同時処理が可能な強力なマグネットラックです。DiaMag製品のパンフレットを資料タブからダウンロードしていただけます。


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