DNAメチル化パターン
DNAメチル化は、系統決定、ゲノムインプリンティング、および染色体の安定性に重要な役割を果たしており、胚発生におけるエピジェネティックな遺伝子制御の重要なメカニズムです。
また多くの疾患、特に癌において細胞内DNAが脱メチル化され、DNAメチル化パターンが変化していることが観察されています。
ゲノム全体にわたってDNAメチル化パターンをマッピングすることは、疾患の原因や診断法・治療法を追究する有効な手段です。
DNAメチル化パターンの解析法
DNAメチル化パターンのマッピング法にはいくつかの方法があります。

1) DNAメチル化マイクロアレイ
InfiniumアッセイのようなDNAメチル化マイクロアレイは大規模コホートの研究に適していますが、ゲノム全体のカバー率が低く、バッチ効果の影響を受けやすい上、ヒトゲノムにしか利用できません。
Infinium Methylation EPICアレイ受託サービス
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2) 全ゲノムバイサルファイトシーケンシング(WGBS)
全ゲノムバイサルファイトシークエンシング(WGBS)は、ゲノムストランドごとのメチル化状態を1塩基スケールの解像度で網羅します。1サンプル当たりのリード数の必要量が多いためにシークエンシングのコストが高く時間を要し、多数のサンプルを解析するのには不適です。
WGBS受託サービス (全ゲノムバイサルファイトシーケンシング)
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3) MeDIP-seq
5-mCに特異的な抗体を用いた免疫沈降を利用した手法で、理論的にゲノム上の全てのCのメチル化状態を数百ベースの解像度で解析することが可能です。全体のメチル化状態の傾向を見るのに適していますが、解像度が数百ベースであるため、近傍配列のメチル化シトシン数の総和がシグナル強度として表れ、標準化に注意が必要です。
MeDIP-seq受託サービス(Methylated DNA IP Sequencing)
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4) Reduced representation bisulfite sequencing (RRBS)
Reduced representation bisulfite sequencing (RRBS) 技術はゲノムの一部分を濃縮してメチル化解析を行うことによってシーケンス量を減らす手法です。カバレッジが200~400 万CpGと非常に高く、CpGメチル化解析に適しています。
RRBS技術はメチル化アレイとWGBS技術の長所を有しており、複数のサンプルを同時に処理することが可能、かつあらゆる脊椎動物種で柔軟に使用できるため、大規模コホートの研究においても正確で費用対効果の高いアッセイを行えます。
- 特徴
- 1塩基の分解能でCpG-rich部位の5-MeCを同定可能
- 全ゲノム上CpG-rich部位のメチレーションパターン解析
- 最大400万か所のCpG部位をカバー
- エピジェネティックなバイオマーカーの探索に

