ChIPテクニックQ&A


ChIP-seqやChIP-qPCR等、クロマチン免疫沈降を用いた実験手法は手順が多く、経験やノウハウの積み上げが実験の成功を左右します。

DiagenodeではChIPに関する豊富な知見を基に、皆様のChIP実験テクニックに関する質問に対する回答・アドバイスを、このページでご紹介していきます。

c Expand All C Collapse All

新着Q&A (9)



【FAQ】Lysis BufferのSDS濃度について



SDSは1%までの濃度で添加することによってソニケーション効率を向上させることができます。しかしながら、添加することによりターゲットタンパク質が変性したり、高次構造を解離させるリスクも増大します。

従って、実験条件やターゲットの種類に合わせたSDSの最小濃度を決めて実験することが大事です。

他の界面活性剤はSDSのソニケーション効率向上の効果を打ち消す場合があるため、可溶化バッファーやソニケーションバッファーの組成にはバランスを考慮する必要があります。

ダイアジェノードのEasyShear kitやChIP kitでは、ChIPのターゲットに応じて、SDS量を最適化したバッファーを使用していただけます。

また、SDSの濃度を変えた場合の検証済みの断片化プロトコールについてもご用意しています。詳しくは下のURLをご覧ください。

https://www.diagenode.com/jp/categories/chromatin-shearing(グローバルサイトにリンクします)




【FAQ】ソニケーションに汎用ラボチューブは使える?



多くの汎用チューブは柔らかい素材で製造されており、発振音波を吸収してサンプルへのエネルギーの伝達を妨げてしまうため、超音波処理には不向きです。

ソニケーション効率はチューブの材質、チューブ壁の厚み、ソニケーション水浴中のサンプルの位置に影響されます。

Fig. 汎用チューブとダイアジェノードソニケーションチューブを用いた場合のソニケーション効率の違い

HeLa細胞をホルムアルデヒドで固定化した後、Diagenode Chromatin EasyShear Kit – Low SDS (Cat. No. C01020010)を用いてクロマチンを調製した。サンプルを1.5mL Diagenode microtubes with caps (Cat. No. C30010016)および1.5 ml Eppendorf Safe-Lock tubes中で30秒on/30秒offパターンを5, 10, 15サイクルソニケーション処理を行った。100 bpラダーをサイズマーカーとして同時に泳動した。




【FAQ】ソニケーション時のサンプル温度



ソニケーションの実施温度は4℃が最適です。

サンプルをソニケーションの10分前から氷上で冷やすことにより、核の可溶化とソニケーションの再現性を向上させることが可能です。




【FAQ】抗体とプロテインA/Gビーズについて



前清澄化についてはprotein A/Gビーズとの非特異的結合を防ぐ次元で推奨される場合があります。しかしながら、DiagenodeのChIPキットのプロトコールではプレインキュベート・前清澄化ともに必須ではありません。




【FAQ】ChIPして得られたDNAの定量方法



免疫沈降したDNAの量は、サンプル中の転写因子の量に依存しますが、同時にゲノムDNAの混入に由来するバックグラウンドシグナルの吸光が定量に大きく影響します。

従って、DNA濃度の定量は吸光光度法に拠らずqPCRを用いることを推奨します。

qPCRでは転写因子領域特異的な領域を増幅するポジコンの増幅量と、転写因子領域とは関連しないネガコンの増幅量と比較して目的領域の濃縮を確認してください。




【FAQ】ChIP-seqに必要なクロマチン量



必要なサンプル量の見積について、吸光度が必ずしもサンプル量を反映しないことより、弊社ではDNA濃度を使用せず、細胞数や組織のmg数で見積を行うことを推奨します。

その前提のもとで、弊社のμChIPmentationおよびTrue MicroChIP Kitのワークフローを用いたヒストンの解析の場合では一回の免疫沈降当たり10000個以上の細胞数で開始することを推奨しています。

より少ないサンプル量からのChIP実験の場合、異なるワークフローの組み合わせが有効な場合があります。サンプルの種類とChIPのターゲットを含むプロジェクトの簡単な概要をcustomer.support@diagenode.comまでお知らせいただければ、弊社R&Dチームが最適な方法についてご提案させていただきます。




【FAQ】ChIPの成否確認はPCRでも大丈夫?



特に高い品質のChIPデータを得たい場合、qPCRでの確認が必須です。ChIPではデータの正規化の手法が解析に主要な影響を与えるため、得られたシグナルを慎重に定量することが正しいデータの解釈につながります。

ChIPで得られたデータの信頼性を担保するためにも、インプットサンプルの定量データを取得してください。インプットサンプルはChIP実験において基礎となる情報を提供するため、使用するプライマーセットごとに解析します。

インプットサンプルで得られるデータは、ChIP実験で使用されたクロマチンの存在と量を示しており、ポジコンとして使用されるほか、実験で得られた様々なデータを正規化する際の基準の値となります。

質の良いコントロールと定量データがあって初めてデータの正規化と統計学的な解析が可能となり、データの解釈についても信頼性を増大させることができます。よって、ChIP実験の評価にはqPCRを用い、正しい解析方法を用いてご確認ください。




【FAQ】超音波処理時のサンプルチューブの違いについて



ソニケーション効率はチューブの種類とサンプルの体積に依存して変動します。

Diagenode純正0.65 mLチューブと純正1.5 mL microtubes with capsでは同等のソニケーション効率を示しますが、15 mLチューブでは同等のフラグメント分布を得る場合、より長い時間のソニケーションが必要です。

Diagenode 0.2 mLチューブは最もスループットの高い選択肢でソニケーション時間も若干短くできますが、処理できるサンプルの体積は20-100μL/tubeに限定されます。

チューブ当たりのサンプルの体積は、ソニケーション効率を保ち再現性を維持するためにも守ってください。

また、サンプルの体積の減少に従い断片化効率は上昇します。もし100μLと300μLのサンプルがあり、同じ量の音波エネルギーが印加された場合、100μLのサンプルのほうが効率よく断片化されます。

Picoruptor サンプルチューブラインアップ (pdf書類)




【FAQ】ChIP-qPCRで使用するプライマーの選択



ChIPで使用するプライマーはゲノムDNA配列上のターゲットの結合する領域に対応した配列を使用する必要があります。mRNAをターゲットとするプライマーは通常ChIPには適していません。

良いChIP-qPCR用のプライマーをデザインすることはいくつかの理由から難易度が高いことが知られています。

以下の点にご注意ください。

・ChIP用のプライマーは限られた領域を検出する必要があるため、選択肢が少なく設計上の自由度が低い傾向にあります。特に転写因子のように結合領域が狭い場合、ある抗体では動作するプライマーが別のChIP実験ではうまく動作しない場合があります。

・qRT-PCRでは特異性を向上させるためにイントロンをまたぐプライマーがしばしば使用されますが、ChIPではゲノムDNAが鋳型なため、そのようなプライマーは使用できません。

・断片化クロマチンのサイズに合わせ、また非特異反応を上回る増幅を得るため、アンプリコンは短く(50-150 bp)設計することが求められます。


Q&Aカテゴリー


こちらもご覧ください。