【FAQ】クロスリンク条件の決定方法を教えてください
DNA結合タンパク質を研究するにあたってはタンパク質に応じてそれぞれ最適な固定化方法を使用する必要があります。また一部のエピジェネティックマークは、他のマークよりも挙動を捕捉しにくい場合があります。
従って、タンパク質-DNAの固定化が分子間の結合としてきちんと行われたかの確認を行うことは難しいですが、以下のポイントに従った実施を確認することにより、良好なクロスリンク形成の条件に近づけることは可能です。
親和性の弱いまたは希少なタンパク質-DNA結合イベントを研究する場合、固定化は培地にクロスリンク剤を加え迅速かつ直接行います。ヒストン修飾を研究する場合、固定前にトリプシン処理によって細胞を懸濁液中に懸濁してください。一般に、標準的なホルムアルデヒドを用いた1ステップのクロスリンクプロトコールを使用すると、ヒストン修飾では短い固定化時間(8 ~ 10 分)、転写因子ではそれより長い固定化時間(10 ~ 20 分)が必要です。
クロスリンク剤のホルムアルデヒドについては新鮮なものを常に使用してください。メタノールを含まない試薬の使用は必須ではありませんが、高品質で新鮮なホルムアルデヒドの使用が重要です。ホルムアルデヒドをストックしている場合は、毎月在庫をフレッシュなものと交換することにより、ChIP 実験間の高いアッセイ間再現性が確保できます。
細胞株や目的のエピトープについて、最適な固定時間を経験的に決定するために、固定化のタイムコースを常に取得してください。細胞株とエピトープは、クロスリンク効率と試薬に対する感度が大きく異なります。固定時間と温度を正確に指定してください。
ホルムアルデヒドによるクロスリンクは、時間と温度に依存するプロセスです。より高い温度とより長い持続時間で、より強い架橋が達成されます。特定のターゲットと細胞の種類に応じて室温または37℃、5分または15分などで実施できますが、実施の際は温度と時間が一定であることを確認してください。