Q&A:ChIP-seq


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ChIP-seq (12)



【FAQ】未知の結合部位の濃縮率を求めるには



もし、免疫沈降で濃縮したいタンパク質がどこに結合するのかについての情報がない場合、ChIP-seqで得られるNGSのピーク情報や配列情報以外の確実なアウトプットはありません。

まず確認できることとしては、既知のターゲットに対する抗体をポジティブコントロールとし、プロトコールが正常に行われているかについて確認してみることができます。この場合、抗体がおのずと異なるため、目的のタンパク質については確認できません。

また、qPCRプライマーデザインを行うために、目的タンパク質の結合モチーフの情報があればそれを利用する方法もあります。

もし実験に使用しているサンプルや類似サンプルで一度でもChIP-seqのデータが取得できた場合は、その実験結果を基にqPCRのプライマーデザインを行い、その後の同じ実験系で濃縮率を反映するか確認していくことも可能です。

Diagenode ChIP-seq受託解析サービスでは、シーケンスによるChIP実験結果の検証を行っておりますので、qPCRプライマーについても確実に設計できます。




【FAQ】転写因子のChIPで使用できるポジコンについて



CTCFは、十分に特徴づけられたピークと結合部位を持っているため、転写因子に対して最も使用されているポジティブコントロールの1つです。

この他に一般的に使用されているポジティブコントロールはRNAPolIIです。

ChIPで強力に機能する他の十分に特徴づけられたターゲットと対応する抗体がある場合は、それを使用することも可能です。




【FAQ】Total H3はポジコンに使えますか?



H3K4me3が対象のターゲットである場合、追加のポジティブコントロールは必要ありません。

H3K27acも、非常にアクティブなプロモーターおよびエンハンサーサイトに見られる優れたコントロールターゲットです。

H3-ChIPは可能ですが、H3はクロマチン中に遍在するため非常に広い分布が得られる結果となり、ChIPの修飾特異性のコントロールとしては最適ではありません。




【FAQ】ChIP-seqに必要なクロマチン量



必要なサンプル量の見積について、吸光度が必ずしもサンプル量を反映しないことより、弊社ではDNA濃度を使用せず、細胞数や組織のmg数で見積を行うことを推奨します。

その前提のもとで、弊社のμChIPmentationおよびTrue MicroChIP Kitのワークフローを用いたヒストンの解析の場合では一回の免疫沈降当たり10000個以上の細胞数で開始することを推奨しています。

より少ないサンプル量からのChIP実験の場合、異なるワークフローの組み合わせが有効な場合があります。サンプルの種類とChIPのターゲットを含むプロジェクトの簡単な概要をcustomer.support@diagenode.comまでお知らせいただければ、弊社R&Dチームが最適な方法についてご提案させていただきます。




【FAQ】ChIP-seqのポジコンの選び方



免疫沈降によりヒストンが適切に濃縮されているかのポジティブコントロールとして使用する場合は、目的のヒストンマークと同じような挙動を示すヒストンマークを使用することを推奨します。

例えばH3K4me3(ヒストンのChIPでの標準的なマーク)か、H3K27me3が適切です。

H3は広範なゲノム領域を沈殿し、インプットのようなシグナルが得られます。

また、H3K4me3ではシャープなピークが得られるため、qPCRでも簡単に検出でき、ChIPのポジコンとして最適です。




【FAQ】ChILプローブの蛍光標識について



ChIL-seq法はChIL-probeと呼ばれる二次抗体をコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドプローブを主構成要素とする実験手法で、少量の細胞から免疫沈降を介さずにシグナルが得られます。

このChILプローブはT7 RNA polymeraseプロモーター配列+シーケンスライブラリー用プライマー配列+Tn5 transposase(トランスポゼース)Mosaic End配列を有する2本鎖DNAと抗体とのコンジュゲートで、ターゲットタンパク質と結合してTn5 transposaseの添加によって近傍に配列を挿入し、さらにT7 RNA polymeraseの添加により挿入部位を起点としてRNAを転写します。

ChIL-seqではChILプローブに付加された蛍光標識(TAMRA)は必須ではありませんが、実験プロトコール中で品質管理に使用できるほか、免疫蛍光イメージングによって固定細胞中タンパク質の局在を可視化することができます。




【FAQ】ChIL-seqを様々なサンプルで試したいが



ChIL-seqは幅広いサンプルとターゲットを対象に使用できる手法ですが、サンプルの種類に応じて最適な結果を得るためにはChIPと同様、固定化・クロスリンク条件と細胞透過処理に若干の最適化検討が必要のようです。

植物を対象にしたChIL(クロマチン免疫標識法)関連研究については下の論文もご参考にしていただければ幸いです。

Sakamoto, Y., Sato, M., Sato, Y., Harada, A., Suzuki, T., Goto, C., Tamura, K., Toyooka, K., Kimura, H., Ohkawa, Y., Hara-Nishimura, I., Takagi, S., and *Matsunaga, S.

Subnuclear gene positioning through lamina association affects copper tolerance.

Nature Commun., 11, 5914 (2020)

https://www.nature.com/articles/s41467-020-19621-z




【FAQ】ChIPmentationとシングルセルシーケンシング



CUT&Tagについて、ダイアジェノードではシングルセルレベルでの実験の可否はまだ確認できておりませんが、Nature CommunicationでscCUT&Tagへの適用が報告されているほか、続報が報告されています。

CUT&Tag for efficient epigenomic profiling of small samples and single cells

現在のところ、弊社では最小10,000細胞から得られた調製済みクロマチンに使用できるキット(μChIPmentation)をご用意しております。




【FAQ】ChIP-seqに必要なリード数について



これは、目的のタンパク質によって異なります。鋭いピークを持つヒストン修飾の場合は3,000万リード(H3K4m3)、ピーク幅が広く量が多いもの(H3K27m3など)の場合、約5,000万リードが推奨されます。



【FAQ】シーケンスのマルチプレックス化について



シーケンシングをマルチプレックス化することにより、定量・精製後の個々の調製済ライブラリーを任意のモル比でプールし、同時に分析することができます。

プールされているライブラリは、異なる配列のバーコードを導入したインデックスプライマーを用いて調製する必要があり、インサートの平均サイズも同様である必要があります。




【FAQ】ChIP-seqに必要なリード長とシーケンス深度



リード長はサンプルの種類、実験目的及びシーケンスカバレッジの要件に応じて選びます。

長いリード長は、よりシーケンスのオーバーラップを生じる方向に働くためゲノムのde novoシーケンスや繰り返し領域の解読の信頼性を高めるのに大変有用です。de novoシーケンスでは150bpのリード長で推定ゲノムサイズの30~100倍程度のデータを一般に取得します。

発現プロファイル解析や発現計数などのアプリケーションの場合、短いリード長でも十分でコスト的にも優位です。

ほとんどのChIP-seq実験ではリード長は50 bpで十分です。リード数は目的のタンパク質によって異なりますが、鋭いピークを持つヒストン修飾の場合は3,000万リード(H3K4m3)、ピーク幅が広く量が多いもの(H3K27m3など)の場合、約5,000万リードが推奨されます。




【FAQ】ChIP-qPCRとChIP-seqについて



ChIP-qPCRはしばしば濃縮度の低いIPサンプルに対しても分析可能な場合がありますが、ChIP-seqは大量のデータが分析の結果として生じるため、S/N比を向上させ、信頼性の高いデータを得るために濃縮度の高いIPサンプルが必要です。

そのため、ChIP-qPCRで使用可能な抗体の中には、ChIP-seqで使用した時に十分な濃縮度が得られず推奨できないものが含まれる場合があります。

しかしながら、一般的にChIP-qPCRでよい結果が得られている場合、ChIP-seqでも十分なシーケンス結果を得ることは可能です。

逆にChIP-seqでよい結果が得られているにもかかわらず、低品質のプライマーや未知のアニール部位のためにqPCRがうまくいかず、ChIP-qPCRの結果が良くないケースも見られますので、そのような場合はqPCRの系が機能しているか十分再検討することをお勧めします。



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