Q&A:固定化(クロスリンク・脱クロスリンク)


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クロスリンク・脱クロスリンク (23)



【FAQ】新鮮なホルムアルデヒドはどうやって調製するの?



ホルムアルデヒドの品質と濃度は常に再現性があることが重要です。

市販のホルムアルデヒドの未開封瓶(一般的に37%のストック)を使用する以外では、パラホルムアルデヒドから調製する方法も可能です。

もし溶液が開封・調製後長時間保管されている場合、ホルムアルデヒドがメタノールに変化して固定化能が増強されるため、再現性が低くなります。

この結果ChIP下流の手順も影響されるため、全体的にリスクを増やすことになりますので、常に開封・調製後のホルムアルデヒドは速やかに使用してください。

別の選択肢としては、市販のホルムアルデヒドアンプル(それぞれ1mlまたは10ml)もありますので、固定化条件を厳密にそろえる場合は利用することも可能です。




【FAQ】新鮮なホルムアルデヒドの小分け分注



検証したわけではありませんが固定化効率の変動につながる可能性があるため、私達のチームでは行っておらず、推奨もしていません。

少なくとも本法で保存する場合は、複数回の凍結融解サイクルを避けてください。




【FAQ】クロスリンクしたクロマチンにTn5は使える?



Tn5はクロスリンク処理した核に効率よく入ることが可能です。従って、ホルムアルデヒドによってクロスリンク処理した核はCUT&Tagに適合します。また、転写因子のCUT&Tagには光クロスリンクを推奨します。

しかし、Tn5は、天然のクロマチンと比較して、架橋したクロマチンを断片化する効率が低い傾向があるようです。

実際は対象となる標的ごとに直接比較する必要がありますが、中程度に架橋されたクロマチン(典型的なChIP-seq/ChIPmentation試料)または二重架橋されたクロマチン(間接架橋剤を用いた転写因子などのChIP試料)であればTn5はよく機能しています。しかしクロマチンが高度に凝縮・架橋されたFFPEサンプルでは、Tn5の効率が低く、感度向上の処理などが必要な可能性が高いと思われます。




【FAQ】クロスリンク条件の決定方法を教えてください



DNA結合タンパク質を研究するにあたってはタンパク質に応じてそれぞれ最適な固定化方法を使用する必要があります。また一部のエピジェネティックマークは、他のマークよりも挙動を捕捉しにくい場合があります。

従って、タンパク質-DNAの固定化が分子間の結合としてきちんと行われたかの確認を行うことは難しいですが、以下のポイントに従った実施を確認することにより、良好なクロスリンク形成の条件に近づけることは可能です。

親和性の弱いまたは希少なタンパク質-DNA結合イベントを研究する場合、固定化は培地にクロスリンク剤を加え迅速かつ直接行います。ヒストン修飾を研究する場合、固定前にトリプシン処理によって細胞を懸濁液中に懸濁してください。一般に、標準的なホルムアルデヒドを用いた1ステップのクロスリンクプロトコールを使用すると、ヒストン修飾では短い固定化時間(8 ~ 10 分)、転写因子ではそれより長い固定化時間(10 ~ 20 分)が必要です。

クロスリンク剤のホルムアルデヒドについては新鮮なものを常に使用してください。メタノールを含まない試薬の使用は必須ではありませんが、高品質で新鮮なホルムアルデヒドの使用が重要です。ホルムアルデヒドをストックしている場合は、毎月在庫をフレッシュなものと交換することにより、ChIP 実験間の高いアッセイ間再現性が確保できます。

細胞株や目的のエピトープについて、最適な固定時間を経験的に決定するために、固定化のタイムコースを常に取得してください。細胞株とエピトープは、クロスリンク効率と試薬に対する感度が大きく異なります。固定時間と温度を正確に指定してください。

ホルムアルデヒドによるクロスリンクは、時間と温度に依存するプロセスです。より高い温度とより長い持続時間で、より強い架橋が達成されます。特定のターゲットと細胞の種類に応じて室温または37℃、5分または15分などで実施できますが、実施の際は温度と時間が一定であることを確認してください。




【FAQ】組織サンプルの固定化ステップと注意点



固定化は観察対象のタンパク質をクロマチンクロスリンクすることにより、タンパク質のクロマチンとの相互作用の強弱を測定するために使用されます。

固定化は、目的のタンパク質とクロマチンとの結合状態に変化が生じないよう、ホモジナイズする前、すなわち実験の最初に行います。

固定化(クロスリンク)の最適化時に検討すべき項目は、クロスリンク剤に何を使用するか(ホルムアルデヒドが最もポピュラー)、ホルムアルデヒドの含量%、固定化時間、温度、クロスリンクの反応停止の方法です。

使用する細胞や組織サンプルの種類や対象のエピトープによって、異なる固定化条件が必要になる場合があります。

最適な結果を得るために、サンプルやChIPのターゲットエピトープに応じて、固定化条件をそれぞれ最適化することを推奨いたします。




【FAQ】CUT&Tagにクロスリンクは必要ですか?



通常どの実験に於いても、固定化なしの条件は実験上適していません。CUT&Tagの初出論文においても実験対象はヒストン修飾とCTCFでした。

また、多くの転写因子において発現量が少ない、DNAへの結合が一過性あるいは弱い、DNAやクロマチンに間接的に結合しているなどの事象が認められます。このような場合、タンパク質-DNA相互作用を検出するためにはクロマチンクロスリンクが必須です。

更に、多くのChIPグレード抗体はクロスリンク条件でのエピトープ認識について検証されており、ネイティブのエピトープを認識しない可能性があります。

従って、ChIPをCUT&Tagにスイッチする際は、抗体がネイティブな状態での目的エピトープに対し十分な特異性と感度を有しているか検証することが必要です。

CUT&Tagで検証済みの抗体リストについて、弊社で取り扱っているものを下のURLにお示しいたしますので、是非ご覧ください。

https://www.diagenode.com/en/categories/cut-and-tag-antibodies




【FAQ】脱クロスリンクとProteinase K



クロスリンクには穏和な温度による加熱をお勧めします。

Proteinase Kを加えて実施することも可能ですが、Proteinase Kの添加は必須ではありません。




【FAQ】トリプシン処理した細胞のクロスリンク



二次的な影響を防ぐため、トリプシン処理は可能な限り短くするのが望ましいです。

固定前後のサンプル処理は可能な限り迅速に行い、適切な阻害剤を使用してください。




【FAQ】クロスリンクのQC?



通常クロスリンクだけを取り上げて品質管理することは難しいと考えられます。

従って、クロスリンク剤(通常ホルムアルデヒド)について新鮮な試薬を必要十分な濃度条件で使用することが信頼できるクロスリンク(固定化)につながることを念頭に実験することをお勧めします。

クロスリンク(固定化)の反応時間は、とくにヒストン以外のタンパク質をChIPあるいは免疫沈降する際に変更することが多い値です。

クロスリンク(固定化)の強度を上げると細胞・組織の可溶化・ソニケーションに対する耐性が上昇するため、最適な固定化条件を得るためにはクロスリンクの反応時間を振ったサンプルないしはクロスリンクしないサンプルを比較対照とし、反応時間 vs シグナルの強度およびS/N比との相関を検討することをお勧めします。




【FAQ】凍結細胞・組織の固定化



新鮮な細胞を対象にクロスリンクChIPを行うことがベストですが、凍結細胞を使用することも可能です。

細胞を氷上でゆっくり融解し、融解後すぐに処理を行ってください。

凍結組織の場合も、組織を氷上でゆっくり融解後、すぐに処理を行ってください。

サンプルの温度が上昇するとプロテアーゼによるサンプルの分解が始まりますのでご注意ください。

組織はドライアイス上に乗せたペトリ皿中で小片に分けながら融解し、解凍後直ちにクロスリンク(固定化)を行い、その後可溶化・ソニケーションしてください。




【FAQ】ChIPに使用するサンプルの凍結法



まずクロマチン断片化とChIPで最適な結果を得るためには凍結させず新鮮なサンプルを用いるのがベストです。密でコンスタントな断片の分布が得られ、効率的・特異的な免疫沈降の結果が得られます。

もしサンプルの凍結が避けられないときは以下のタイミングで行ってください。

組織:処理した組織の採取直後、あるいはクロマチン断片化後

培養細胞/単離細胞:細胞のクロスリンク後、クロマチン断片化前、あるいは断片化後

以下のQ&Aもご確認ください。

Q. ChIP実験を後で行うため、クロマチンを保存したいのですが、細胞・組織サンプルはどのように保存すればよいですか?

Q. 超音波処理後のクロマチンは凍結保存できますか?凍結保存する場合、凍結前にプロテアーゼ阻害剤を加える必要はありますか?

Q. 超音波処理後のクロマチンを冷凍保存する際、液体窒素で急速冷凍したほうが良いですか?それとも-80℃に保存するだけでよいですか?

Q. 事前にクロスリンク(固定化)・冷凍した細胞をソニケーションテストに用い、実際の実験を新鮮な細胞を使用しても良いですか?冷凍した細胞と新鮮な細胞で断片化の条件は変化しますか?

Q. 細胞サンプルの凍結は-80℃が良いですか?-20℃での凍結でも大丈夫ですか?




【FAQ】メタノールフリーのホルムアルデヒドはChIPで必要か



ホルムアルデヒドは必ずしもメタノールフリーである必要はありません。

ホルムアルデヒドは正確な濃度のものを使用する必要があるため、新鮮なホルムアルデヒドを使用することが効果的です。

新鮮なホルムアルデヒドを常に準備することが難しい場合、アンプル入りなどの小分けされた純度の高いホルムアルデヒドが使用しやすいオプションとなります。




【FAQ】オルガノイドの固定化・クロスリンク



サンプル中のすべてのタンパク質はホルムアルデヒドと反応し、他の物質も反応します。マトリゲルなどもサンプルへのクロスリンク試薬の浸透に影響を与える可能性があります。固定前に細胞からマトリゲルを分離できない場合は、サンプル全体に試薬が十分に浸透できるように、固定時間を多少調整する必要があります。

また、オルガノイドの均質化について、固定化によりさらにホモジナイズしにくくなるため、より強い処理が必要になる場合があることに注意してください。このような場合、細胞の固定化プロトコールの代わりに組織の固定化プロトコールを代替手段として適用できるかもしれません。




【FAQ】ChIPにおけるクロスリンクの役割



クロマチン免疫沈降(ChIP)は細胞や組織内のタンパク質-DNA相互作用を研究する手段として一般的に使用されている実験手法です。

ChIPに使用するクロマチンを最適な状態で調製するためのカギとなるのは、クロスリンクの最適化です。

クロスリンクでは通常ホルムアルデヒドを用いてDNAとタンパク質との間に可逆的な架橋結合を形成させます。

ホルムアルデヒドは細胞膜を迅速に透過し、インタクトな細胞内で互いに近傍にあるタンパク質やDNAを素早くクロスリンクします。ホルムアルデヒドによるクロスリンクは直接相互作用する2つの分子のクロスリンクに最適です。

しかしながら、高次の相互作用や動的な相互作用に対しては、効率の高いタンパク質-タンパク質の固定化を得るためにDiagenode ChIP Cross-link Goldのような2重クロスリンクChIP固定化試薬なども考慮に入れるべきでしょう。




【FAQ】転写因子クロスリンク



ホルムアルデヒドはDNA-DNAおよびDNA-タンパク質の相互作用している分子間を効率的に架橋します。

これは全てのヒストン及び多くの転写因子にも当てはまります。

転写因子の種類によってはDNAに直接相互作用しないため、長い分子間距離の架橋やタンパク質-タンパク質間の効率的な架橋が可能な追加のクロスリンク試薬が必要な場合があります。

ChIP Cross-link Goldはこのような転写因子クロスリンクに最適に使用していただけます。




【FAQ】クロスリンク(固定化)と核の単離について



クロスリンクはDNAとタンパク質の相互作用を捕捉するために必ず最初に行ってください。

また、新鮮な細胞からの核の単離は細胞にストレスをかけ、ゲノムの部位によってはタンパク質結合部位が変わる場合があります。

したがってクロスリンクについては必ず単離前に最初に行ってください。




【FAQ】培養液中でクロスリンク



細胞は接着細胞の場合、培養液中で直接固定化(クロスリンク)することが可能で、あるいは一度再懸濁した細胞に対して固定化 (クロスリンク) を行うこともできます。

どちらも固定化 (クロスリンク) の方法として使用可能で、用途によって使い分けることができます。

もしPBSが細胞に悪影響を及ぼしている場合は培養液中での処理がより適しています。

その場合、同じクロスリンク効率を得るためにはクロスリンク時間を延長する必要があります。




【FAQ】組織の凍結融解とChIPについて



ChIP実験にとっては細胞が生きている必要はありません。

望ましくは実験直前に細胞が固定化(クロスリンク)され直ちにChIPに用いられることですが、すぐに実験できないときは細胞を凍結することは可能です。

固定化については、クロマチンの元の状態を反映させるためになるべく優先して行ってください。




【FAQ】転写因子クロスリンク時のヒストンIPについて



クロスリンクを追加で実施するとヒストンChIP-seqのバックグラウンドシグナルが増加する傾向にあります。

したがって、クロマチンサンプルを調製する際は各目的ごとに別々に調製することが望ましいです。

別々に調製するのに充分な試料が得られない場合、ヒストンChIP-seqについては少なくとも品質の良いChIP-seqグレード抗体を用い、転写因子の実験について別に実施することによって、成功する確率を高めることができます。




【FAQ】細胞・組織の凍結保存について



可能な限り、サンプルの処理後得られたクロマチンをただちに使用するのが最適ですが、サンプルの凍結保存が必要な場合-20℃で数週間から数か月保存することが可能です。

組織は採取後ただちに凍らせてください。

また、細胞については固定化・可溶化後に凍結させることが可能です。

-80℃での保存は長期保存に適していますが、数週間から数か月であれば-20℃で十分です。




【FAQ】脱クロスリンクの反応条件1



クロマチンを4時間、あるいはオーバーナイトで保温(65℃程度)する方法をお勧めします。

その際、Proteinase K処理が併用されることもありますが、必須ではありません。

保温の後でも、ライブラリー調製で使用される2本鎖DNAは維持されます。

ただし、ChIPmentationの手順は例外で、脱クロスリンク反応のスピードアップのため、高い温度が使用されます。




【FAQ】脱クロスリンクの反応条件2



オーバーナイトでのインキュベーションは次の日まで実験を止めておく便利なステップとして活用できますが、通常反応時間は4時間で十分です。

ただし、長時間クロスリンク反応が行われた場合や、追加のクロスリンク試薬が使用された場合は延長されるケースもあります。とはいえ、その場合でも4時間であれば十分である可能性が高いです。




【FAQ】脱クロスリンク後のDNA精製について



はい、脱クロスリンクが効率的に行われた後であればどのような精製法でも有効です。

弊社では短時間で効率よいDNA精製が可能なiPure kit v2(ビーズベース)かDiaPure columnsをお勧めしています。



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